令和元年8月5日(月) 料金改定に至った経緯

 下記は、料金改定実施日前にご案内した文章です。改定を決断した経緯を記してあります。お手数ですがご一読をお願い致します。

 お陰様で、令和元年5月14日をもちまして、Kikiの開店から10年が経ちました。ここまでの継続と成長は支えて頂いております多くの皆様とワンちゃんの賜物です。ご愛顧ありがとうございます。

 料金改定についてですが、開店からの10年間、ワンちゃんがこまめにグルーミングを受けられるように、Kikiに通いやすくなるようにとの目的で、料金を抑えながらワンちゃんの心身に負担がかからない上質なグルーミング技術を提供ができるように設備・時間・ノウハウ・システムなどへの投資を行いながら工夫と改善に取り組んできました。加えて、前回からの利用期間が45日以上空きワンちゃんの毛・皮膚・耳・爪などの状態が芳しくなくグルーミング難度が高まった場合、オーダー内容などにより仕事量が増加した場合もなるべく料金を抑えた金額でご利用頂けるように努めてきました。加えて、平成26年4月1日よりの消費税3%増税後も料金据え置きにて営業してきました。

 その最中、料金を抑えながらワンちゃんの心身に負担がかからない上質なグルーミング技術の提供を続けていくスタイルに限界を覚えながらも、工夫と改善と研究により何度も限界突破をしてきました。しかしここに来て本当の限界を痛感しています。そのため適正な技術料金に改定致します。 この改定により、Kikiとお付き合い頂いております飼い主さんとワンちゃんのなかから経済的にKikiに通うのが難しくなってしまう方が出てくるかもしれません。それは大変心苦しいのですが、それでも変えなければならない現状に至っているため、改定を決断致しました。

 料金改定の詳細をお伝えする前に、ブログ「トリマーJJの雑記帳」に書きました「なぜ今回の改定がワンちゃんのためにもなるのか」を説明致します。

 実は、料金を新しく設定する以外に、ワンちゃんの心身に負担がかからない上質なグルーミング技術をお手頃な料金で提供できる方法が他にないかと探していました。1つだけありました。それはスタイリストトリマー数人を雇い、ベルトコンベア式の流れ作業に切り替えて頭数をこなすことのみにフォーカスした方法です。しかしこれには2つの問題点があります。

 1つ目の問題点は、1頭に十分な時間を割くことができなくなってしまうため、グルーミング中のワンちゃんの目、声、表情、体の緊張具合、そのコの雰囲気などから発せられる大事なメッセージをトリマーが拾えなくなってしまいワンちゃんに大変な思いをさせてしまう恐れがあることです。下記の箇条書きはその具体例です。

●足腰が悪いコ、老犬で筋肉力が低下しているコ、上手に立つ事ができないコに対して、休憩を用意することなく無理にでも立たせなければならなかったり

●老化、古傷などにより関節の可動範囲が狭くなり手足を上げるのでさえ大変なのに、それに気づかずグルーミングを続けたり

●不安で落ち着きがないコ、グルーミング中に動き回ってしまうコ、グルーミングに慣れていない生後半年未満の子犬に対しても押さえつけるようなことをしなければならなかったり

●鼻が短くつまっている犬種(シーズー、ペキニーズ、パグなど)が暑がって呼吸が乱れている状態であっても、息を整える休憩時間を用意することができなかったり

●持病のあるコ、目が見えないコ、精神が不安定なコに対して、そのコにとっての不安要素を取り除きながら「一歩先」をリードしてあげる思いやりを持つ心の余裕を無くしてしまったり

 

 時間と労力をかければワンちゃんに苦痛を与えることなくできる1つ1つのグルーミングを我慢してもらわなければならなくなってしまいます。ワンちゃんからしたら「何でこんなにメッセージを送っているのに僕たちの声を無視するんだ」という気持ちになってしまいます。そのような不信感を覚えさせたままでいると不満が溜まり、グルーミング中に自分を守るための問題行動を起こすようになります。それが引き金となり、グルーミング中の事故につながります。人間関係と同じで、担当トリマーとワンちゃんとの信頼関係も簡単に崩れてしまいます。

 2つ目の問題点は、安値で技術提供するためには予約をギュウギュウに詰めこみ、とにかく多くの頭数を営業時間内にこなす必要があります。それにより時間に追われ、トリマー自身のエネルギー再生のための時間を確保することが難しくなります。その結果、判断力、集中力、想像力が低下し、グルーミングを受けるワンちゃんの気持ち、飼い主さんが愛犬を大切に思う気持ちを汲み取る余裕がなくなります。また、飼い主さんから教えて頂いたワンちゃんの心身に関する重要な情報を忘れてしまったり、焦りが原因でワンちゃんに大怪我をさせてしまったり、繊細さを無くした力任せの犬体コントロールが原因で、ワンちゃんの心が傷つき様子がおかしくなったとしても(心の傷は治りません)飼い主さんには「この料金ですから」と我慢をお願いすることになってしまいます。また、「今回このグルーミングをしたら、次回来た時にどんな皮膚になっているのか?どんな毛の状態になっているのか?どんな性格のコになっているのか?」など、そのコの将来を想像する余裕ができないその場限りの低質なグルーミングになってしまいます。

 以上のことから、低価格を維持するための1つの方法として流れ作業で頭数をこなすやり方もありましたが、その選択肢には問題があり、ワンちゃん、飼い主さん、雇ったトリマーみんなに我慢をさせることになり、何一つ良いことが見つけられませんでした。   令和元年8月5日(月)実施の料金改定により、1頭のワンちゃんに割ける時間が今まで以上に増え、そのコそのコの表情をみながら気持ちに寄りそったグルーミングを強化することができます。担当したワンちゃんに労力と資金をよりかけられるようになります。

 グルーミングはワンちゃんの健康維持、病気の早期発見などの観点から不可欠なものです。人間よりも早く流れる時間の中でワンちゃんは生きています。その短い生涯で150回以上は体験するグルーミングが良い体験になるように上質な技術提供を致します。

 犬に対する価値観、ライフスタイルはそれぞれ違いますから、自分のコにかけられる時間とお金に上限があるのは重々承知のうえでの改定です。


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